大阪地方裁判所 昭和59年(わ)907号 判決 1984年6月14日
裁判所書記官
山田至
本店所在地
大阪市旭区清水一丁目一八番一九号
大正商事株式会社
(右代表者代表取締役大山桂右)
本籍
同区清水二丁目二〇番地
住居
同区清水二丁目七番二五号
会社役員
大山桂右
昭和一六年一二月二九日生
本店所在地
同市北区天神橋四丁目一一番六号
大正産業株式会社
(右代表者代表取締役大山勝久)
本籍
兵庫県西宮市柏堂西町六番
住居
同町六番二号
会社役員
大山勝久
昭和二五年七月一四日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官鞍元健伸出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
一、被告人大正商事株式会社を罰金一、二〇〇万円に、被告人大正産業株式会社を罰金三五〇万円に、被告人大山桂右を懲役一年に、被告人大山勝久を懲役八月に、各処する。
一、被告人大山桂右及び被告人大山勝久に対し、この裁判確定の日から三年間それぞれその刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
第一、被告人大正商事株式会社は、大阪市旭区清水一丁目一八番一九号に本店を置き、遊戯場の経営等を目的とする資本金七〇〇万円の株式会社であり、被告人大山桂右は、昭和五六年七月七日までは同社の取締役として、同日以降は同社の代表取締役として、同社の業務全般を統括しているものであるが、被告人大山桂右は、同社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げの一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、
一、昭和五六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際総所得金額が一億二六三七万二八三一円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五七年二月二七日、大阪市旭区大宮一丁目一番二五号所在の所轄旭税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九五七六万一八七三円でこれに対する法人税額が三八七二万一六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五一〇九万六八〇〇円と右申告税額との差額一二八五万六七〇〇円を免れ、
二、昭和五七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際総所得金額が一億七七〇三万三〇一六円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五八年二月二八日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六六四七万三四三六円でこれに対する法人税額が二六四〇万三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額七二六〇万三九〇〇円と右申告税額との差額四六四二万四七〇〇円を免れた。
第二、被告人大正産業株式会社は大阪市北区天神橋四丁目一一番六号に本店を置き、パチンコ遊戯場の経営を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人大山勝久は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人大山勝久は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げの一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際総所得金額が一億二九二五万四六五六円(別紙(三)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五八年二月二六日、大阪市北区南扇町七番一三号所在の所轄北税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八六三五万四六五六円でこれに対する法人税額が三四七三万五四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五二七四万八五〇〇円と右申告税額との差額一八〇一万三一〇〇円を免れた。
(証拠の標目)
判示第一の各事実につき
一、被告人大山桂右の当公判廷における供述
一、同被告人の検察官に対する供述調書
一、収税官吏の同被告人に対する質問てん末書八通
一、河嶋透、大山正夫の検察官に対する各供述調書
一、収税官吏の島田純夫、岩田信之、石川稔、丸岡求に対する各質問てん末書
一、収税官吏作成の査察官調査書一〇通(証拠等関係カード検察官請求分番号8ないし17)
一、被告人大正商事株式会社作成の法人税確定申告書謄本二通
一、大阪法務局登記官国本喜一作成の法人登記簿謄本
一、収税官吏作成の脱税額計算書二通(前記番号1、2)
判示第二の事実につき
一、被告人大山勝久の当公判廷における供述
一、同被告人の検察官に対する供述調書二通
一、収税官吏の同被告人に対する質問てん末書四通
一、収税官吏の大山圭子に対する質問てん末書
一、収税官吏作成の査察官調査書四通(前記番号43ないし46)
一、被告人大正産業株式会社作成の法人税確定申告書謄本(前記番号40)
一、大阪法務局登記官風見源吉郎作成の法人登記簿謄本
一、収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号38)
(法令の適用)
被告人大山桂右の判示第一の各所為及び被告人大山勝久の判示第二の所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当し、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、判示第一の各罪は、刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人大山桂右を懲役一年に処し、判示第二の罪については、その所定刑期の範囲内で被告人大山勝久を懲役八月に処し、被告人両名に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間それぞれその刑の執行を猶予する。
被告人大山桂右の判示第一の各所為は、いずれも被告人大正商事株式会社の業務に関してなされたものであり、被告人大山勝久の判示第二の所為は、被告人大正産業株式会社の業務に関してなされたものであるから、右両会社については、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に各処すべきところ、被告人大正商事株式会社については、情状により同法一五九条二項を適用し、判示第一の各罪は、刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告人大正商事株式会社を罰金一二〇〇万円に処し、判示第二の罪につきその所定の金額の範囲内で被告人大正産業株式会社を罰金三五〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 金山薫)
別紙(一) 修正貸借対照表
昭和56年12月31日現在
<省略>
<省略>
<省略>
別紙(二) 修正貸借対照表
昭和57年12月31日現在
<省略>
<省略>
<省略>
別紙(三) 修正貸借対照表
昭和57年12月31日現在
<省略>
<省略>
<省略>